第7回心電図検定まであと307日!
一日、一心電図
今日の心電図
では、
今日の心電図です。
50歳代、男性。
ここ数ヶ月、喘息発作を繰り返している。
今回も夜間に起座呼吸状態となり救急要請。
搬入時の心電図↓
心電図診断をお願いします。
アクションも思い浮かべてください。
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心電図診断は
「洞性頻拍」
「左房負荷所見」
です。
解説
★王道の判読★
基本調律:正常洞調律、心拍数100bpm前後
P波:左房負荷所見あり
PR間隔:延長・短縮なし
軸:正軸
移行帯:V3-4
低電位:なし
高電位:左室高電位なし、右室高電位なし
ST-T:ストレインT@V5-6、平低T@ⅢaVFⅡ
QT間隔:延長・短縮なし
P波の波形異常はⅡ誘導とV1誘導で確認!
P波の波形異常があります。
左房拡大所見です。
Ⅱ誘導が二峰性になり、
V1誘導で陰性成分が大きくなっています。
上記のように、
P波の波形異常を確認するときには
Ⅱ誘導とVⅠ誘導
を確認します。
これは必ず覚えてくださいね。
P波は合成波
ちなみにP波は
右房成分と左房成分
の合成波です。
※青:右房成分、赤:左房成分
12誘導に現れる波はこの2つの波の合成波なのです。
左房拡大
左房拡大が起こると、
Ⅱ誘導の後半成分
V1誘導の陰性成分
がそれぞれ大きくなります。
その結果、
のように正常P波とは異なる「かたち」になります。
右房拡大
ちなみにすでに学習済みですが、
右房拡大が起こると、
Ⅱ誘導の前半成分
V1誘導の陽性成分
がそれぞれ大きくなります。
その結果、
のように正常P波とは異なる「かたち」になります。
今日の症例では…
Ⅱ誘導が二峰性になり、
V1誘導で陰性成分が大きくなっており
左房拡大
を来していることがわかります。
何らかの左房負荷がかかっている病態に陥っており、
起座呼吸という臨床症状を合わせると、
急性心不全
を発症していることが疑われます。
胸部レントゲンでも
cuffing signやB line
を認め、
さらに、血液検査で
NT-proBNP上昇
も認めました。
心エコーでは、
EF 20%
と著明な収縮不全を認めておりました。
以上より、
「急性心不全」
と確定診断しました。
喘息発作と診断されておりましたが、
実は心不全を繰り返していた症例でした。
小さなP波の変化が、
臨床診断に大きく寄与した症例でした!
Take Home Message
・P波は右房成分と左房成分の合成波である
・P波はⅡ誘導とV1誘導で確認する
・P波の波形異常は心房拡大を示唆する
・P波の異常は診断の糸口となる
参考にしました
↓↓↓
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