不整脈原性右室心筋症(ARVC)

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心電図検定では必須だけど、臨床ではあまり見ないARVCをまとめてみた❗

 

不整脈原性右室心筋症の英語名

ARVC

長ったらしい名前ですが、

横文字でさらに略してまずは親しみを感じましょう!

 

  • A = arrhythmogenic (不整脈原性)
  • R = right (右)
  • V = ventricular (室)
  • C = cardiomyopathy (心筋症)

 

ということで、

ARVC

と略されます!

 

「RV」とは?

真ん中の「RV」は「右室」のことなので、臨床でもよく使いますね。

 

「CM」ではなくて「C」?!

最後の「C」は「心筋症」のことなので、

  • 肥大型心筋症= HCM
  • 拡張型心筋症 = DCM

といった感じで、通常は「CM」と略しますが、

ARVCMでは長ったらしいので、最後のMは省略です笑

では、「A」は?

まさにこの「A」がこの疾患の本体を示していますね!!

arrhythmogenic

を分解すると、

 

ar – rhythmo – genic

 

となり、

ar」= 否定語

rhythmo」は「リズム

-genic」はgene(遺伝子)から来ている言葉で、「〜を生み出す」という意味となり、

 

不整脈(リズムがない)を生み出す = 催不整脈

 

となるのです。

 

ARVCの波形

以下が、ARVCの心電図になります。

↓以下より引用

https://litfl.com/arrhythmogenic-right-ventricular-dysplasia-arvd/

 

だってぇ〜、ARVCの心電図なんて持ってません!(そのぐらい珍しいのだと思います!それとも見逃しているのかな??)

 

確認できる心電図所見は

  1.  PR延長
  2.  右軸偏位
  3.  tall R@V1
  4.  イプシロン波@V1
  5.  delayed S wave upstroke@V1-3
  6.  陰性T波@V1-4/V5-6/ⅢaVFⅡ

 

delayed S wave upstroke (脱分極異常と関連)

・s波持続時間>55ms(約1.5メモリ)

 

イプシロン波 (脱分極異常と関連)

LITFLでは

”Small positive deflection (“blip” or “wiggle”) buried in the end of the QRS complex”

と表現されています。

 

small positive deflection (小さな陽性の振れ)

にさらに

blip or wiggle (小さくてくねくね)

と補足されています。

 

さらには

buried in the end of QRS complex(QRSの終末部に埋もれる)

ということからも、

イプシロン波はとにかく

「小さくてギザギザ」

しているものなんでしょう。

 

そして、

再現性をもつ

ということもとても重要!

 

陰性T波 (再分極異常と関連)

 

※ 再分極異常(=活動電位の持続時間の異常)

 

疾患の特徴

ARVCは

若年者の突然死

の原因になることがことがあります。

 

早期発見が重要です。

2010年に、初期病変や保因者への診断感度を高くする新診断基準

proposed modification of the Task Force Criteria
(Eur Heart j, 2010; 31: 806-814)

が出されました。

 

これは、

  1. 機能異常、形態異常
  2. 組織所見(心筋生検)
  3. 再分極異常
  4. 脱分極異常
  5. 不整脈
  6. 家族歴

の6つ項目で成り立っています。

心電図に関わるのは、

3、4、5

ですね!

 

その他の3つは、

右室の機能低下(収縮能低下)、形態異常(心腔拡大)

脂肪変性、線維化

遺伝子異常

と因果関係で考えると覚えやすいです!!

 

ちなみに、2つの遺伝子に異常をきたすと言われています。

  • デスモゾーム関連遺伝子
  • リアノジン受容体(RyR2)遺伝子

です。

デスモゾームは「心筋細胞間の接着」と関連します。

リアノジン受容体は「Caハンドリング蛋白」です。

 

これらは

常染色体優性遺伝

であるため、家族歴は30-50%に認めます。

 

これら遺伝子異常の表現型として、

右室自由壁の心外膜側から線維化、脂肪浸潤

として始まります。

 

特に、これらの変性を認めやすい場所が、

  • 三尖弁輪下壁(右室流入路)
  • 心尖部
  • 右室流出路

です。

 

triangle of dysplasia

と呼ばれています。

 

ここからは、少し応用編。。。

進行すると、左室も障害され、AFやAFLなどの心房性不整脈も生じる。

 

不整脈基質は、心外膜側から始まり、心内膜側へ進行する。

不整脈基質の頻度が高い部位は、右室流出路と三尖弁輪である(右室心尖部の頻度は低い)。

左室への浸潤も稀ではない。

 

治療

・心不全に対しては、BBやRAAS阻害薬

・不整脈に対してはⅢ群の抗不整脈薬(アミオダロン、ソタコール)

・二次予防でICD

・競技スポーツは禁止

 

※アミオダロンが本疾患におけるVF/VT予防効果が高い。アミオダロンが脂肪組織に沈着しやすいため。

※重度の右室and/or左室の機能障害(収縮能低下)を有する症例はclassⅠ(ARVCは初発症状がsudden deathであるため?)

 

鑑別を要する心電図

イプシロン波と間違えやすい心電図

・右脚ブロック

・ASD with crochetage pattern

 

陰性T波@V1-3

病歴を考慮に入れれば、それほど迷うことはなさそうですが、

下記の鑑別疾患が挙がりますね。

  • たこつぼ心筋症(亜急性期)
  • Brugada症候群(covedタイプ)
  • 前壁中隔心筋梗塞治療後(急性期)
  • 急性冠症候群(Wellens sign)
  • 若年性T波
  • 肺塞栓症

 

上記は暗記法を練り上げましたので、載せておきます笑

右軸偏位

ARVCは右軸偏位もきたしやすいので、鑑別が必要です。

右軸偏位を呈する疾患

  • 左右電極つけ間違い
  • 右胸心
  • 新生児
  • 肺塞栓
  • 高カリウム血症
  • 側壁梗塞
  • 左脚後枝ブロック
  • 右方起源のPVC/VT

 

 

PR延長

PR延長も頻繁に認める所見です。

ただし、200ms(5メモリ)前後といった微妙なものが多いですね。

 

臨床でのポイント

・右室流出路(RVOT)起源のVTであれば、早期に思い浮かべたい!!

また、右室流入路起源のVTもきたすため、こちらの波形も注意ですね。

 

 

 

心電図検定でのポイント

必ず出題されると噂です。。。

公式問題集にもしっかりと掲載されております。

やはり「イプシロン波」の波形を見せておいての

  • イプシロン波
  • 不整脈原性右室心筋症

という用語を選択肢に用意する、というパターンでしょうか。

 

今後深めたいこと

・ARVCで起こりやすいVT(起源も含めて)

・JCS専門医試験の問題を収集

 

参照

・持田製薬心電図テスト

 

https://med.mochida.co.jp/guidance/electrocardiogram/q58.html

 

・築島先生ブログ

 

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