臨床で見逃されやすい後壁梗塞に関してまとめてみました❗
後壁梗塞は診断が難しい
純後壁梗塞は
12誘導心電図に左室後壁に面する誘導がない
ため診断が難しいと言われています。
そのときには、無理やり左室後壁に面する誘導を作りましょう!
左室後壁を眺めるには背中側に誘導を貼るしかありません。
この誘導を
背側部誘導(V7-9)
と言います。
背側部誘導を記録することが後壁梗塞の診断に役立ちます。
貼り場所は、
高さはすべて「V4と同じ高さ」
- V7 後腋窩線との交点
- V8 左肩甲骨中線との交点
- V9 脊椎左線との交点
ちなみに急性後壁梗塞診断のためのST上昇の基準ですが、
V7-9誘導の隣接する2つ以上の誘導で0.5mm以上
となります。
「AMI患者の約4%では背側部誘導でのみST上昇が認められる」という報告もあるぐらいなので、純後壁梗塞は決して珍しいものではないと思います。
純後壁梗塞の名称
ところで、後壁にのみ梗塞が起こった心筋梗塞を
純後壁心筋梗塞
と記載しました。
実は他にも、
高位後壁心筋梗塞
とも言ったりします。
また英語の表現では
- pure posterior MI
- true posterior MI
- isolated posterior MI
- high posterior MI
と表記されたります。
対側性変化を利用する
「V7-9誘導とるの面倒くさいな〜」
って思いますよね💦
できれば12誘導で検出したいですね!
対側変化を利用する
対側性変化を利用しましょう。
解剖学的に背側部誘導V7-9に相対しているのが、
前胸部誘導V1-3
です。
ST上昇の対側変化
ST上昇の鏡面像として、
ST低下
異常Q波の対側変化
異常Q波の対側変化として、
tall R(5mm以上@V1 or 10mm以上@V2 or R/S>1)
wide R波(1mmルール)
陰性T波の対側性変化
陰性T波(terminal T wave inversionや冠性T波)の対側性変化として、
陽性T波(特に後半成分)
上記の変化を見たら、後壁梗塞の可能性が高まります。
単独ではない場合の後壁梗塞
冠動脈の走行の関係上、
後壁梗塞は、下壁梗塞や側壁梗塞との合併が多くなります。
裏を返せば、下壁梗塞や側壁梗塞を見たら、
後壁梗塞の合併を疑え
となります。
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