80歳男性 胸痛
80歳代の男性。急性発症の胸痛を主訴に救急外来を受診。冷汗を認める。
主訴は「胸痛」ですので、「かたち」を意識して、12誘導心電図を施行しました。
心電図診断
では、心電図診断は?
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心電図診断は、「急性前壁中隔心筋梗塞」です。
じっくり読んでみよう!
「胸痛」が主訴ですので、「かたち」の異常であるST変化を探します。
そういう意識で判読すると、
・ST上昇@V1-4/aVLⅠV5
・ST低下@ⅢaVFⅡ
を見つけることができます。
ST上昇の範囲は、前壁中隔(V1-4)領域、そして側壁(aVLⅠV5)領域までと広範囲です。
ST上昇に対する鏡面像(mirror image/reciprocal change)は下壁(ⅢaVFⅡ)領域に出現しています。心筋梗塞の心電図を判読する上で、鏡面像であるST低下は非常に重要です。
冠動脈カテーテル検査で、左前下行枝近位部(#6)が完全閉塞しており、ステント留置し再開通(TIMIⅢ)に成功しております。無事救命できました。
この心電図は実臨床ではよく出会う心電図で、当然見逃してはいけませんし、1秒でも早く診断をつけなくてはいけません。
急性心筋梗塞は、刻一刻と心筋が壊死していっている恐ろしい疾患です。”Time is muscle(時は心筋なり)”という標語がありますよね。迅速な診断が、患者さんの命と心臓を救うのです。
ST上昇型急性心筋梗塞の診断は、
・症状
・心電図
の2つが決め手ですので、心電図判読が非常に重要なものとなるのです。
心電図検定公式問題集(第3版)では、
第88問~96問までが「虚血性心疾患」のパートになっています。
第89問、90問は類似症例になっています。
確認してみてください。
まとめ
・前壁中隔領域:V1-4
・側壁領域:aVLⅠV5-6
・下壁領域:ⅢaVFⅡ
・ST上昇だけでなく、鏡面像であるST低下も確認する
・Time is muscle!
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