今日の心電図

〜あと318日〜

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Hands of medical team stacking hands after long day of work in hospital, view from below
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第7回心電図検定まであと318日!

 

 

一日、一心電図

 

毎日、

私の前をたくさんの心電図が流れていきます。

 

最近はちょっとした異常も気付くことが

できるようになってきたかなって感じです。

 

でも振り返ってみると、

きっと今までたくさんの異常所見を

見逃してきたんじゃないかなって思います。

 

ごめんなさい。。。

 

って自己嫌悪になりながら、、、

 

しょうがないよね、

あの時は実力がなかったんだから。

 

って自己弁護したりています。

 

その時の全力をつくして

判読していたのであれば、

やっぱり仕方がないですよね。

 

心電図の判読力はみなそれぞれです。

 

新人さんとベテランさんでは違いますし、

非循環器内科の先生と循環器内科の先生とでは

当然その判読力は異なります。

 

判読力がある人から見れば、

 

 「心電図所見を見逃している!」

 

とか

 

 「心電図の勉強がまだまだ足りん!」

 

とか、

 

他の人の判読の取りこぼしがあると、

物申したくなることがあるかもしれませんが、

 

そういう時は、

 

 やさしく教えてあげましょう!

 

あなたが実力がなかったときに

そうしてもらっていたように!

 

そうしていけばきっと、

心電図が好きになる人が増えていくと思います。

 

心電図診断が決め手となって、

救うことができる患者さんが

増えていくと思います。

 

楽しみですね〜

 

明日からも心電図仲間を増やしていくぞ〜

 

 

今日の心電図

では、

今日の心電図です。

 

80歳女性。

嘔吐、胃部不快感で前日に消化器科に入院。

 

この患者さんは、入院時からモニターが装着されておりました。

 

通りがかりにこのモニターを見た私。

 

「ムムムッ!よもやよもや…」

 

12誘導心電図をとってみました。

 

 

心電図診断をお願いします。

アクションも思い浮かべてください。

 

心電図診断は

 

 「たこつぼ心筋症」

 

です。

 

解説

 

ぱっと見て、

 

 ST上昇

 

に目が行きますね。

 

ST上昇といえば、

 

 急性心筋梗塞

 

です。

 

以前に学習しましたが、

→ 心電図検定 3級レベル〜practice 001〜

 

心筋梗塞のST上昇は

 ・解剖学的に連続する2誘導以上で認める

 ・解剖学的に相対する対側誘導でST低下を伴う

という特徴がありました。

 

ざっくりと、表にすると

 

 

となります。

 

本症例では、

 ST上昇:V2-4、ⅠV5-6、aVFⅡ

 ST低下:aVR

となり、

 

解剖学的に考えると、

 前壁も!

 側壁も!

 下壁も!

みたいな感じになり、

また

 鏡面像がない!

ということもあり、

 

 「本当に心筋梗塞?」

 

って不思議になってきます。

 

ちなみに本症例は

症状として、

 「嘔吐、胃部不快感」

がありました。

 

そして、

心電図と同時に血液検査をしたところ

 トロポニン陽性

でありました。

 

症状や心筋逸脱酵素は

 「心筋梗塞」

を示唆しておりますが、

 

心電図に心筋梗塞らしさがないのです

 

そこで想起していただきたい鑑別疾患が

 

 「たこつぼ心筋症」

 

になります。

 

たこつぼ心筋症の心電図所見で汎用されているものが

 ・V1でST上昇を認めない

 ・aVRでST低下を認める

です。

 

感度、特異度ともに高い所見となります。

 

この症例は上記所見を満たすため、

 

12誘導心電図の時点で

 「たこつぼ心筋症」

を疑いました。

 

心エコーでも典型的な

 

 たこつぼ様壁運動異常

  →心尖部中心に壁運動低下

  →心基部側は過剰収縮

 

を認めました。

 

もともと元気な患者さんでしたので、

 

冠動脈カテーテル検査

 

も行いましたが、

冠動脈に器質的狭窄や攣縮は認めませんでした。

 

以上より、

 

「たこつぼ心筋症」

 

と診断しました。

 

もう一つ。

 

たこつぼ心筋症になってしまった原因を考えます。

 

 「他臓器の急性疾患」

 

 

 「精神的なストレス」

 

が誘因になります。

 

この方は精神的なストレス(身内の急な不幸)でした。

 

他臓器の急性疾患も誘引になることが多いので、

 

心臓だけ見ていてはいけません。

 

私は、

 

 クモ膜下出血→たこつぼ心筋症合併

 閉鎖孔ヘルニア嵌頓→たこつぼ心筋症合併

 

などを経験したことがあります。

 

Take Home Message

 ・解剖学的に合わない(冠動脈の支配領域に合わない)ST上昇を見たら、

  「たこつぼ心筋症」を鑑別に考える。

 ・たこつぼ心筋症の心電図所見

 ・たこつぼ心筋症の原因で多いのは、

   内臓疾患

   精神的なストレス

 ・たこつぼ心筋症と診断したら、他臓器疾患がないか精査

 

 

では、またあした!

 

参考にしました

↓↓↓

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第97問~111問までが「その他の疾患」のパートになっています。

第97問、98問、109問が「たこつぼ心筋症」の問題となっています。

確認してみてください。

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